舞台「アンチイズム」感想

こんにちは、どーもりくぴです。

今回はFlying Trip 舞台「アンチイズム」を鑑賞してきたので書いていきたいと思います。

 

ネタバレありの舞台を見た人ならわかる雰囲気で行きますのでその点だけ注意お願いします。

 

 

今回の話ですが宣伝のポスターを見て勝手ながら「バッドエンド」になるのかなー? とか「モヤモヤ」した気持ちになってしまったら嫌だなぁ・・・等と思っていたんですがそんなことはなく見終わった後、僕の心は綺麗な感動でいっぱいになりました。

 

ただ最後はハッピーに終わったものの物語全体の雰囲気はやはり暗めでした。

小説家になるという夢を追い、憧れの樋渡先生の元で働く九条菜々が裏切られ

仲間もいなくなり一人で「自殺」をしようとするシーンでは胸が苦しくなりました。

友達であった珠子にさえ裏切られ中身のないすっからかんの慰めの言葉をかけられるところは文字通り「酷すぎるよ」でしたし中盤では「菜々」がいなかったかのような扱いには涙を流しました。

小説を書いていた小さな机で遺書を書きだし幽霊たちが菜々を止めようとするも触れられない。あまりにも切なすぎて本当にどうしたらいいんだと思いました。

 

僕自身も一度だけ本当に「死にたい」と思い命を投げ出そうとしたことがあり

菜々が「お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください・・・」と言った時には当時を思い出し勝手にシンクロして涙を流しました。

「死にたい」って思った時って現実が嫌になって逃げだしたくなったり

戦って向き合うことが嫌になって疲れたときだって思ってて

線路に飛び込もうとしたり橋の上に落ちようとするも死ねず「死ねませんでした。」という伊波さんの「全てに絶望した表情」と言うのはこの舞台じゃなきゃ見れないなと思いました。

そこからの舞台終盤赤いドレスを纏い死ぬことができなかった菜々に

対して会長が「死にたいんだろ?いけ好かない奴だったが全てあいつの思い通りになり、お前は消える、行くぞぉ!!!!」とナイフを刺すシーン

絶対会長は菜々が本当は「死にたくない」ことを知ってての上だろうなとか

この脚本を書いた春間さんはわかってるなぁ。と感じました。

その後の菜々は自殺という逃げることをやめ、樋渡先生に気持ちを伝えに行くのですが

そこの伊波さんと横井さんの掛け合いが忘れられません。

 

「私はどう贖罪すればいいのだろうか。」

 

「惰性で物語を書いているのであれば今すぐ、筆を折ってほしい。」

 

強烈でした。

 

樋渡先生のやった事は到底許されることではありませんが、有名作家としての悩みプレッシャーから逃げてしまった。

そういった事なんて誰にでもあると思います。

それに対して菜々は「逃げずに戦え」と言っているようで「死にたい」と嘆いていた

表情とは一変していたのが記憶に残っています。

 

その後決意して自分の連載をやめ菜々の小説を見てもらいたいという

「作家の名前は、九条菜々。」の説得力。また後ろでずっと頭を抱えているような辻さん演じる山岸社長の苦悩も伝わってきましたね。

 

先生との決着がついたあと本当に未練がなくなったのか命を絶とうとする菜々に対して

幽霊たちは「菜々には本を書いてほしい。僕たちもいつか必ず生まれ変わって菜々の本を見つける!」


ただただボロボロと泣きました。


特にする事もなく意味もなくだらだらと過ごし前に進むことを恐れていた幽霊達が決意していく。


奈々もそれに対し「わかった。でも一人になっちゃうね。」


幽霊の一人であるねぇねえの言う「一人になるのは始まりの時だけよ」が忘れられません。


伊波さん目当てで見に行った人(僕もです)は聞いたことはあると思うんですけど

Aqoursの「Step ZERO to ONE!」の歌詞にある「冒険に出るんだ 最初はひとり やがて皆と巡り会える」とシンクロして

高海千歌ちゃんで伊波さんを知った僕は勝手に泣いていました。


幽霊達と別れ本当に一人になったあと


笑顔で楽しそうに文字を宙に描いていく

奈々。


ステージにはプロジェクションマッピングで文字が舞います。


きっと彼女の中には無数の空想の世界が広がっていて夢に向かって描き出していくんだろうなと本当に感動しました。


このお話現代の日本人における

「権力者」などの理不尽な力「主流」に対して

立ち向かっていく「反主流」を描いたのだと勝手ながら思いました。



生きているとどうしても理不尽な事が襲いかかりそれがまるでそうだろうとばかりに流されてしまったりするのですが

それは「逃げている」事だと教えてくれたような気がします。




ここではうまく書けませんでしたが

会長率いる事務所サイド、

樋渡先生率いる作家サイド

奈々率いる九条家サイド

どの登場人物達もどこか「逃げている」「流されている」人達ばかりで上手く描いて演じていたなぁ。と思います。


なかなか上手くまとめられませんでしたが他にも久保田さん演じる薮下、武子さん演じる安達のにらみ合いや掛け合いのシーンのシリアス具合には凄みを感じました。


また雰囲気は暗めというものの所々コメディ要素もあり

菜々が三人の幽霊達と初めて出会ったシーンや薮下さん達が会長のお酒を飲むシーなんかは笑いながら見ることができ飽きさせない工夫がよくされてるなぁ。と感じました。

特にお化け役と現実の一人二役の戸田さん、山口さん、大見さんの三人にはよく笑わされました。

山口さんのヘタレ役が上手で出ている場面では何度も笑ってました。


まりや役の水野さん

珠子役の佐藤さん

ルビー役の古橋さん

どれも可愛くてその場にちゃんと大事なキャラクターとして存在していました。


特にルビーは本当に外国人のような喋り方であったりまりや役の水野さんはアンチイズムが初めてのお仕事と聞き驚きました。

日下部役の那須さんの途中の裏切り


会長役の蓮田さんや樋渡先生役の横井さん山岸社長役の辻さんのベテランの演技の安定感。


本当に誰か一人欠けてもダメなんだよな。と思いました。


なかなかうまいこと何一つ書けていませんが


これから先自分の人生で

会長や、山岸社長、樋渡先生のような「逃げ続ける卑怯者」ではなく

奈々のような「逃げずに戦う」人でありたいなと思いました。


脚本を作ってくれた春間さん

演じてくれた伊波さん含む役者さんの皆さん

一緒に見に行ったあの場の方々達


自分の心に残る作品をどうもありがとう。



円盤届いたらまた見るぞ!


次の舞台があれば必ず見に行きたいと思います。


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